凸版印刷博物館グラフィックトライアル2022年

デザインイベントウオッチャー山中です。

弊社から歩いて10分ほど凸版印刷博物館にグラフィックトライアル展を見てきました。この展覧会は凸版印刷のもつ高い印刷技術をクリエーターが作品として表現するというものです。

5人のクリエイターが参加しています。何点か紹介してみましょう。

居山浩二氏の作品Not Dot、印刷は通常、小さな網点、つまりDotで構成されますが、居山氏はそれを網点ではなく様々な形を網点に置き換え印刷しようというものです。

この手法は、「スクリーンメーカー」と言って偽造防止のために開発された表現技法だそうです。印刷の網点を点以外に変換できるとは知りませんでした。

CMYKの4版それぞれ別の形状の点で印刷するとどうなるのか、様々な形状に置き換えて仕上がりを確認しています。また各版の色の違い、網点の角度を変えるなどして微妙に変化する仕上がりを確認できます。B全版に印刷された最終作品は荒い網点のため、まるでタペストリーのようでした。印刷とはいえ、ここまでの完成度はすでにアートと言えます。

次にご紹介するのはデザインチーム、GOO CHOKI PAR・グーチョキパーのMASQUERRADER。ここで使われたのはダイレクトメールの封筒の透明窓を作るための技術、「ワックスプラス」です。

紙の繊維に特殊な液を含浸させ、紙を部分的に半透明にできるそうです。このチームは「ワックスプラス液」を様々な用紙に含浸させ効果を確認し、さらに表裏に何層にも多様な印刷手法を重ね合わせ作品に仕上げていました。

会場で配布している印刷見本の表。うっすら見えるシルク印刷がわかりますか?

同じく裏。写真ではわかりにくいのが残念。個人的にはベラム紙の裏にマーカーで黒を塗り、表側からのマーカー表現を補助できることがわかっていたので興味深くみました。

その他にも、通常のバックライトを使い、ネオン管のような発色をねらった作品。

偽造防止のために開発されたホログラムを活用した作品もありました。7月24日まで開催されています。印刷マニア必見ですよ。

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