2022メディア芸術祭

現代美術好き山中です。第25回文化庁メディア芸術祭が、日本科学未来館で9月26日まで開催されました。

https://j-mediaarts.jp/

メディア芸術祭は、今回が最後の開催になるそうです。まさか終わるとは!残念です。枠組みは現代アートですが、アニメやコミックまでが対象になったユニークなアートイベントです。現代の日本にだからこそ成り立つアートイベントなのにもったいないですよ。印象に残った作品のいくつかをご紹介します。

アート部門の大賞は「太陽と月の部屋」

分県豊後高田市に設立された「不均質な自然と人の美術館」にある、自然と触れ合い身体性を拡張することをテーマにつくられたインタラクティブアートです。例年アート部門の大賞はインスタレーションであることが多かったように記憶しています。今回のように美術館に一時的展示される作品は私が知る限り初めてです。この作品の興味深い点は、作品が美術館の機能の一部になる点だと思います。なおかつ、LED照明ではなく太陽光を扱う点が評価されたのではないでしょうか。実際の美術館に行ってみたくなりました。

エンターテイメント部門大賞は「浦沢直樹の漫勉neo 〜安彦良和〜」

https://www.nhk.jp/p/manben/ts/7W327R2Y4N/episode/te/9VKLM5VV3R/

マンガ家たちの仕事場にカメラが密着し、その動画を浦沢直樹が解説するEテレの番組「漫勉」が受賞しました。この大賞は選定委員のナイスプレイといっていいです、もう大評価です。http://www.nhk.or.jp/manben/

このシリーズ、私は大ファンでシーズン0(2016)から観てます。工業デザイナーも絵を描く職種とすれば、漫画家も近い職種なのかと親近感があります。しかし作画、ネーム入れの現場をこの番組で知って別世界の技術であることが分かりました。

大賞になった安彦良和の制作現場をみると言葉を失う超絶技巧です。

https://vimeo.com/638182331

ここで作画の様子が見られるのでぜひ見てください。腰を抜かします。

アニメーション部門大賞は「The Fourth Wall/Mahboobeh KALAEE・イラン」

作品紹介では、「生活空間としての家や家族の関係性を創造的に再構成した「台所」を舞台とする実験的な短編アニメーション。」とありました。メディア芸術祭ならでは受賞作品といえます。まずこの手の作品を日本で見ることはできないでしょう。

漫画部門大賞は「ゴールデンラズベリー/持田あき」

高学歴・高収入・高身長なハイスペック青年、北方啓介。しかしその実態は転職を24回繰り返した「仕事が続かない男」32歳の話と聞くとレディースコミックによくあるパターンと考えがちです。

しかし受賞理由を読むと、「「今時の女性マンガ」という判を押そうとする我々の価値観は一読で押し流されるだろう。」とあるので読まないとわからないのかな、でもこの画調はどうも苦手です。

その他にもフェスティバル・プラットフォーム賞として「Path of Noise (r, theta, phi)」など、他の作品も多く展示されていました。メディア芸術祭のサイトだけでなく、YouTubeにも作品が紹介されていますのでぜひご覧ください。しかし、今年で終了してしまうのは本当に残念でなりません。これに代わる現代アートイベントがどこかで開催してくれることを祈るばかりです。

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