アンコンシャス・バイアスとは無意識の偏見

偏見王ヤマナカです。

アンコンシャス・バイアス、聞きなれない言葉ですね。

しかし、企業の人事部門では以前から注目されているワードのようです。アンコンシャス・バイアスとは無意識の偏見という意味です。つまり人事に偏見や差別があってはいけません。まして、多様化の時代ではなおさらのことです。

多くの企業がアンコンシャス・バイアス研修を定期的に全社員に行っているようです。

難しいのがアンコンシャス・バイアスが全て間違っているわけではない点です。

そもそも、ヒトの脳は省エネ運転のためにバイアスをかけて、つまり経験というパターン認識力で効率良く決断し行動しています。つまりその効率化したヒトの認知が偏見を作ってしまうのです。判断が素早いとか、空気を読むなんていうのも全てがアンコンシャス・バイアスの力と言っていいでしょう。

外科医というだけで男性であると決めつけてしまう心理テストはよく知られています。ヒトが陥ってしまう認知の癖こそがアンコンシャス・バイアスです。

実は、この認知の癖はデザインの現場でも多く見られます。デザイナーは作業前、顧客からの条件設定を理解するさいに、経験のあるデザイナーほど過去に蓄積した案件と比較しがちです。ここにアンコンシャス・バイアスが発生します。効率よくデザイン案を揃え、顧客に満足を与えるためだからです。ただ、この経験が時に障害になることがあります。実際に私が経験したデザイン開発にこんなことがありました。ある企業から装置の開発依頼がありました。あまり製品の意匠に費用をコストを掛けたくないことは事前打ち合わせで承知していたので、私はあまり制作にコストのかかるアイディアスケッチを出していませんでした。その時、たまたま入社したばかりの若いデザイナーに数案アイディアスケッチをだしてもらっていました。当然、経験がないので制作するにはかなり難しいアイディアスケッチでした。あくまで参考程度の意味でしかなかったアイディアスケッチでした。しかし、決定した案は、この若いデザイナーが出したアイディアスケッチでした。つまり、経験のあるデザイナーである私はアンコンシャスバイアスにより、斬新な提案をすることを怠っていたのです。もちろん、すべての案件がこのような結果にはなりませんが、それでもこの経験は忘れることができません。

年齢を重ねると偏見はどうしても生じてしまう、止むを得ない事なのかもしれません。それでもデザイナーは厳しく自分のアンコンシャスバイアスを正さなくてはいけません。でもホントこれは難しい!

山中道男

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です